丹波大納言小豆の歴史
兵庫県丹波市春日町東中(ひがしなか)は丹波大納言小豆発祥の地として古くから丹波大納言小豆の収穫に盛んな土地。小豆は中国から伝来し紀元607年、推古天皇の時代に中国から伝来してきて栽培され「古事記」や「日本書紀」記載があり、昔から日本には欠かせない作物の一つ。しかし小豆は霜の害を非常に嫌うため作付が難しく限られた地域でしか栽培が出来なかったそうです。
古くから京都などの高級和菓子店に好まれてきた丹波大納言小豆の原種とも言われ「幻の丹波大納言」とも言われる黒さやの歴史も古く、宝永2年(1705年)に当時の丹波の国亀山藩主(青山下野守)が、庄屋に丹波の国、国領村東中(現在の兵庫県丹波市春日町東中)で生産された小豆の中から15㎏を精選して幕府に献上しその中のいくらかを京都御所に献納したとの記述が残っているようです。
その後朝廷への献上はなんと明治維新まで続けられていたとも記述されています。
大納言小豆の名前の由来
諸説ありますが、この地方に残る文献には
大納言は殿中で抜刀しても切腹しなくても済むことから、
煮ても腹の割れないこの小豆を大納言小豆との称号が与えられた。
と残されています。大納言というと正三位の階級、これは非常に高い位の人で幕府の当主(将軍)クラスでもなれなかった人の方が圧倒的に多い階級です。そんな名誉ある名前を当時いただけたという事は煮詰めても腹を割らないという特徴以上に素晴らしい名誉なことなのではないかと思いますよね。
愛子様、御生誕に献上を再開
古来より受け継がれてきた特定品種の黒さや大納言小豆は収穫できる地域が非常に狭い為、「質より量」を求められた高度経済成長の時代の流れには合わず生産者が徐々に減っていってしまいます。しかし、2000年(平成12年)読売テレビの「どっちの料理ショー」の特選素材に選ばれて再度脚光を浴びる事になります。
記念すべき2001年(平成13年)、皇太子殿下の御息女であらせられる愛子様の御生誕を祝し150年ぶりの皇室への献上(丹波新聞参考)
そして2006年(平成18年)には秋篠宮悠仁様のご生誕祝いとしても献上されます。由緒正しき丹波黒さや大納言小豆を皇室に献上し、300年前から続いていた伝統が復活した瞬間でもありました。
国内の小豆の生産量
小豆全体の約80%は北海道で収穫されているので小豆といえば北海道のイメージが強いと思います。丹波市内における丹波大納言小豆の生産量は約300トン程度で県内においてはもっとも生産量が多い地域だとも言われていますが、全国の小豆の生産量からみると1%未満(約0.7%)。局地的にしか収穫できない黒さやにいたってはさらに少ない生産量しかありません。
日本各地に美味しい大納言小豆はあるのですが、朝廷にも愛されてきた歴史を持ち京都などの伝統ある和菓子屋さんにも重宝されてきた丹波大納言小豆は非常に希少価値が高く、さらには黒さやの復活も手伝い再び世間の注目と人気を取り戻しはじめています。
研究家も絶賛する高い栄養価
小豆は大豆等でも有名なポリフェノールを多く含む植物で、中でもアントシアニンが多い為女性に人気の植物でもあります。アントシアニンは細胞を酸化させる活性酸素を除去する働きを持つとされ、シミなどのお肌のトラブルを改善しアンチエイジングにも効果があると報告されています。
他にも食物繊維を多く含む為毎朝の便通を快適にしてくれる効果や疲労回復に必要なビタミンB1も多く含まれています。亜鉛は細胞が生まれるのを促進し、サポニンによる利尿作用によりむくみ改善と女性には嬉しい効果がいっぱい。
アメリカの農務省が発表したアルツハイマーや心臓病、動脈硬化と闘う為の食品ベスト20で堂々の1位に選ばれ健康食品として人気も上昇中。食文化研究家の永山久夫氏は「小豆は日本人の長寿食、現代人こそ見直すべき食材」と言われている(あずき工房やなぎた様 参考)
丹波黒さや大納言小豆という名の幻の小豆
通常小豆は茶莢(さや)の物が多いなかこの黒さやという品種は莢が本当に黒くなる事で有名です。(※画像は黒くなる前に撮影したものです、ここからもっと黒くなります。)
この品種は丹波市春日町東中の一部の地域でしか育つ事がなく、この黒さやを拡めようと他の地域でも栽培を試みるもすべて失敗に終わってしまったという非常に希少価値の高い大納言小豆。
明治維新~高度経済成長のおりに市場が「質より量」を求めはじめるという時代の流れにはついていけない生産量の低さが仇となり、黒さや生産農家は減り名実ともに幻となりかけた時代もあったそうです。
しかし品種改良を行わず、昔から300年以上この在来種を守り続けてきた地域の人と、それを取り上げて下さったメディアの力によって約100年ぶりに丹波市春日町東中から再び全国の皆様のもとへと届ける事が可能になってきました。
丹波市にあるとても狭い地域でしか育たないが故に護り続けられてきた丹波の伝統の味。それこそがこの丹波黒さや大納言小豆なのです。
そこにはこの種を守り続けたいと願った農家の人の思い、そしてその思いから生まれた保存会の活動。そういった丹波の伝統を守りたいと願った多くの皆さんの気持ちがたくさん溢れているのだと思います。
手作り最中はこの丹波黒さや大納言小豆を使わせていただいております
やながわではこの丹波黒さや大納言小豆をもっとも美味しく食べてもらえる方法としまして「手作り最中」という商品にして販売をしております。
この商品は瓶の中に入っている黒さやの大納言小豆の餡子を食べていただく寸前にサックサクの特製の皮にご自分で適量詰めてお召し上がりになって頂く商品です。最初から詰めてしまうと皮のサクサク感が失われてしまうのは当然ですが餡子の風味も逃げてしまいます。
農家の皆様が何代も昔から大切に守り継がれてきた大切で希少な黒さや大納言ですので本当に美味しい最高の状態で食べて頂きたい。人気の高い丹波大納言小豆とはまた違う黒さやの独特の風味をお楽しみいただけるとおもいます。
(店名で使用している多くの商品に使われている小豆は人気の高い丹波大納言を使用しています)
おまけ
丹波大納言小豆は丹波市の特産品として全国拡がってゆくように活動中です。
丹波大納言小豆のマスコット「丹波のあずきー」さんです♪
やながわの商品にもこのマスコットのマークがついた商品がいっぱいありますし、店内にもあずきーさんがピョコっと居たりしますのでぜひ写真でも撮ってやって下さいね(^ ^ )